すわ、何事!
2004/07/21

 今日南浅川の土手を電動アシスト自転車に乗って、ちんたらちんたらと高尾方面に向かって走っていた。

 うだるような暑さ。私にはこの暑さが最高にうれしい。短パン一丁でママチャリで土手を走るだけで幸せだ。日ががんがん照って、ママチャリでちんたらペダルを踏んで、自分のカラオケを吹き込んだテープを聴きながら走る。これだけで最高にうれしいのだ。自分にとってのゴールデンタイム。こんな最高の時間をおくれる人はそうはいまい。

 吹き込んだカラオケテープを聴くのは、どんな風に唄っているか、どこの音が外れているか、発音は子音が解けて聴きにくくないかなどを、漠然とだが私なりにチェックしているのだ。何のかんのと言ってもただ聴いている時のほうが多いし、散歩している人やジョギングしている人や風景に気をとられて、実際には注意して聞いていないでバックミュージックとか化している

 往復だいたい2時間近く自転車を漕ぐので、片道1時間のテープの裏表を聴けばちょうどよいようになっている。しかし3ヶ月ほど前からカラオケを始めたが、その頃と違ってごまかしての唄い方がうまくなったような気はするが、自分で自分の歌を聞いていても相変わらずの音痴である。楽譜どおりの音程はほとんど出ていない。

 私のサイクリングは体力向上も兼ねている。といってもしゃかりきになってペダルを漕ぐのじゃなく、ちんたらママチャリで土手の景色を眺めながら行くのだが、往復2時間近い時間をそれだけじゃもったいないので、あるときにMP3プレイヤーで英会話の勉強をするつもりで、それを数ヶ月続けたのだけど、いっこうに上達しないで途中で挫折しちゃったんだ。

 挫折してもまた繰り返して続ければ、ある程度のレベルになれば加速度的に知識が広がりだす事も分かっているのだが、今入院している姉と一緒に外国旅行へ行く夢もほぼ不可能な状態になってしまったので、そういった語学に対するなんだか意欲も失われちゃったのである。
 
 今日もそんなわけで腰に小型のカセットテレコ、携帯電話、ICボイスレコーダー、MP3プレイヤー、小型電子手帳などを入れたものをぶら下げて、イヤーホーンを使ってその時々色々な音を聞ける用意していく。あっと、携帯ラジオも持って行っている。

 多摩御陵、今は武蔵野陵といった方が通りが良いかもしれないが、昭和天皇の陵墓へ甲州街道から架かる綾南大橋の下をくぐって、古道橋(ここから武蔵陵へ行くと近いが徒歩かバイクのみ)を女の人が手にいくばくかの荷物を抱えて必死で武蔵野陵と反対側に、つまり私の走っている土手川に向かって走ってくる。

 すわ子供でも川で溺れたか、あるいは怪我かとその辺をきょろきょろしてみたが、子供はいそうにもない。それに浅川の語源通りに、特に南浅川は水位が低くここで溺れる子供もいないだろう。幼児なら倒れて顔が水に浸かるだけで、起き上がれなくてそのまま溺れることもあるけど。

 その女の人の形相は必死である。その女がチラッと後ろを振り向いた。これで分かった何かから逃げているのだ。何から逃げる、異性しかあるまい。案の定、程なく男が「おーい、待てこら」と10mほど離れて追いかけて来た。おい、待てといって待つようなら、あんな必死の形相では駆け出さないだろう、。

 突然現れた二人だが、この古道橋の下は狭い川幅ながら、川に下りて河原でよく子供や家族が遊んでいるところである。このアベックも二人でここにきて遊んでいたのだろう。だから河原から上に上がって古道橋に現れて、突然そんなことが起きたみたいに見えるのだ。

 その二人も河原で楽しんでいる内に、男か女か原因か知らないが、ビールでも進んで何かのきっかけで言い争いとなって、きっとそうなるともともと暴力を振るう男かだか何かで、これはまずいと女は必死で逃げ出してきたようである。

 手には地面に引くシートを抱えている。多分シートの上には簡単なピクニックの品もあったのだろう。それらを丸めて抱えて男から走って逃げているのだ。あっということだったのでよく分からないが、多分女は裸足だ。

 そのまま私は古道橋を渡ると、橋の中ほどのシートに丸め込んであったらしき品物がこぼれ落ちている。男がゆっくりだが駆けるようにやってくる。古道橋を渡ると過ぐにかなりの急坂になるので、私は電動アシスト自転車の電動スイッチを入れてギヤを一段ずつ落としながら、神経は古道橋に残しながらその坂を登って行く。

 10mほどの急坂を登りながら、そういえば以前道路向かいで女にびんたを喰らわせて、腹をたっぷんたっぷん揺らしながら車に乗り込んで逃げ去ったデブのお兄ちゃんを見たこともあったっけなあ。幸い女の方に仲間が多かったんだけど、あれもつらつら思うに男と女の関係だろう。

 聞いた話で、どっかの信金の番頭さんが、どこぞの奥さんにから頬を張り飛ばされたなんてのは、何があったんだろうと想像するけど、女が男の頬を張り飛ばすなんてまあ許せるけど、女が男をあんなふうに恐れて逃げるなんて、どういう関係なんだろうか。

 ドメスティックバイオレンスが多いといわれる昨今、例外的に女が暴力を振るうなんてのもあるみたいだけど、やはり男と女の力関係で行けば、男の方が暴力を振るう事のほうが多いのだろう。そして最近のは陰湿で、相手を私物化するようなタイプの暴力も多いそうである。

 しかし、私には女に手を上げるその気持ちは全く理解できない。多少なりとも好きで付き合っている女に対して、そういった精神構造すらもともとない。それとも暴力を振るえるほどの憎愛が深く、私の愛はそれより単に薄っぺらなだけなのだろうか。

 つづく

Cools