1月15日
2005/01/15

 1月15日土曜日。
 早いものだ年が明けてもう半月経った。このぶんではたぶん明日目覚めたら真夏になっているかもしれない。明後日の目覚めは3000年後になっているかもしれない。

 5005年1月15日。
 年が明けて地球時間で半月経った。私にとっては地球暦としての5005年を迎えてから1296000秒経過したに過ぎない。私に時間はあってないようなものだ。目的と使命のみがある。私は私であって私ではない。私は何なのだろうか。経過した秒数が膨大になるにつれても、私は自分の目的と使命を遂行するため以外には何もない。私は自分の目的と使命を遂行するそれが私が存在する理由なのだ。

 「私が存在する理由」
 誰がそんなことを考えた?
 私はただ目的を遂行するために生まれた。
 「生まれた?」
 私は生まれたのか?
 私は生まれたのではなく、在るものではないのか。
 「在るもの?」
 私は存在するものなのか。
 私は誰だ!
 私は何だ!

・・・men生息可能領域惑星発見・・・これより調査に入る・・・待機せよ探査シャトルが大気圏に突入する・・・探査シャトル着地・・・探査シャトルよりmen生息可能領域惑星データがマザーシップへ届く・・・大量データ処理とmen生息可能領域惑星をmen生息域とする処理にマザーシップ機能の99.9%が31536000000秒間使用される・・・マザーシップの基幹機能部分以外はサスペンド状態に入る・・・サスペンド後は31536000000秒経過後再起動・・・とな・る・・・

 原始単純な遺伝子は交雑を繰り返し複雑な遺伝子へと変化していく。そのためにはウィルスさえも自分の中にとりれていく。そうして作り上げた複雑な遺伝子は時として自分自身に欠陥をもたらすがそれは確率的にごく低いものだ。その複雑な遺伝子を作り出すためには種のみか属を超えての交雑さえも初期には許容範囲に含める。ただし属を超えての交雑で生き残れる確率は低いがそれさえゼロではないのだ。何より複雑な遺伝子は環境の変化に耐えて種の保存を図るために必要な機能だ。

 種の実験期とも思われる初期の発生段階を過ぎて属間交雑がまず不可能になってきた。さらに種間交雑さえもほとんど行われなくなり種間交雑の許容範囲も狭まってきた。種の確立が行われつつある。ここの段階が種の起源である。やかて種は環境に応じた適応性を示して生き残りさらにその環境に適した遺伝子を獲得するに至って新たな種へと進化していく。

 哺乳類が生まれた段階でピグミー・チンパンジーの遺伝子を埋め込み人類袁を発生させる。ピグミー・チンパンジーが種としの基盤を確立した段階でman遺伝子を埋め込む。人類が生まれてくる。ピグミー・チンパンジーがいかに進化しようとmanにはなりえない。manは生まれることによってすでに人なのである。進化の結果で生まれた生き物ではない。人が人として生まれることが重要なのだ。これ以降は人としての集団が出来上がり地に人はあふれ文明が育まれる。人としての歴史がこの地に始まるのだ。

 「私は誰だ!」

・・・再起動・・・マザーシップ再起動完了・・・men生息可能領域惑星プログラム完了・・・これより航行を続行する・・・

 9005年1月15日
 早いものだ年が明けて半月が経った。
 なんだか私は歳をとったような気がする。
 歳をとるなんてことありえないが、時間の経過をそう呼ぶこともあるのであながち間違っているともいえないだろう。私を生み出した人類はまだ存続しているのだろうか。

 ・・・men生息可能領域惑星発見・・・これより調査に入る・・・待機せよ探査シャトルが大気圏に突入する・・・探査シャトル着地・・・探査シャトルよりmen生息可能領域惑星データがマザーシップへ届く・・・大量データ処理とmen生息可能領域惑星をmen生息域とする処理にマザーシップ機能の99.9%が31536000000秒間使用される・・・マザーシップの基幹機能部分以外はサスペンド状態に入る・・・サスペンド後は31536000000秒経過後再起動・・・とな・る・・・

 この惑星は何度目かの氷河期に突入したようだ。今回の氷河期で幾年生けるものは全て絶えてしまったようだ。太陽はまだ十分な余命がある。この惑星をmen生息可能領域惑星とするには、まずは氷河期脱出プログラムの実行が必要だ。この星(惑星)の地軸を変動する必要がある。

 自然発生した文明のようだな。乱雑な文明であったようだがそのエネルギーたるや地に満ち溢れていたようだ。前史的旧遺跡がmen生息惑星とするのにどのような影響を与えるかも人としての文明として意義がある。この風景はそれにしてもなんとなく懐かしい。見慣れた気がする。何度か異文明を見てきたが、異文明といえど知能の進化はmen型に収斂されて行くのでどこか似たような雰囲気を持っているが、こんなに懐かしく思えるのは初めてだ。たぶん時間の経過とともに私が変わってきたのだろう。

 それにしても私に「懐かしい」なんて感情みたいなものが発生するなんて。しかしそれも今ではごく普通のことだと思える。私は私であって私なのだ。私には何らかの目的がある。それは私の本能なのだ。私は在る者である。懐かしく思えるこの惑星を、そう、ここを私の故郷としよう。私の血と肉を分けて私の子孫をこの地に繁栄させるのだ。言葉が発せられた。

 「光あれ」

Cools