兄が亡くなって四年ほど経つ。
昨晩はなかなか寝付けないので、夜中の二時ごろお風呂にゆっくりと入った。お風呂に入ってリラックスすれば心地よく眠れるだろうと思った。
私は相変わらずカラオケを唄っては、それを録音して寝る前に聞くということをしている。昨晩も自分の録音したテープを聴きながら、声の質も安定してきたし唄い方もやっと何とかなってきたなあなんて思えるようになった。
人前で唄っても何とかなるようになるまで、毎日唄に没頭して一年かかった。この一年は朝から晩まで唄に没頭しての事だ。その没頭の度合いも前半より後半にかけてより没頭していった。自分なりに発声の訓練も積み重ねてきた。多分普通の人が歌が好きで練習する程度のならその100倍の練習密度になるだろう。
歌を唄っているときには上手く唄えているような気がして乗っているのだが、その唄を録音して聴いて見れば自分の唄の程度は分かる。本当にいつまで経っても唄は上手くならず、何度も唄うことはもうあきらめようかと思った。
私が聴くのは毎日録音する自分の歌だ。両面で90分テープに色々な歌を唄ったのを録音する。私は毎日このテープ1本から3本ぐらいは録音をする。最低でも3時間以上は唄う。平均5時間は歌を唄ってると思う。
昨晩は自そのテープを聴きながら、なぜかしら本当に自分でも唄が上手く鳴り出しているのだと言う事が実感できた。それ何度も何度も繰り返し聴いていた。そのため寝そびれたのもあって、風呂に入って気分をリラックスさせれば寝られるだろうと思ったのだ。
風呂から出てベッドに入る。テープをかけて聴きながら眠る。テープは既に止まっている。私は兄の夢を見た。夢なので色々の事が寄せ集めとなってまとまりのない話なのだが、私は兄と諍いをしている。何かつまらない事で言い合いをしているみたいなのだ。兄は怒って出て行ってしまった。
私は残った部屋で「そんなつもりで言ったんじゃないんだよ」とひとりで兄に謝っていた。そして夢の中で「ひー」と悲鳴のように声を出して泣いていた。その泣く声が現実に私の耳にも聴こえてきた。夢の中で泣くだけでなく、私は本当に声を出して「ひー」と泣いていたのだ。私は私の泣く声で目が覚めた。我ながら「ひー」と泣いての目覚は、惜寂の限りであった。
今日は雨もはらはらと降っている。今日一日は兄を思い出して、私の心にもはらはらと雨が降るだろう。涙はあふれるだろう。このページを見るたびにも涙はあふれるだろう。
Cools
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